ワクチンで予防する子どもの感染症

最終編集日:2025/4/21

4月は入園、入学の季節。集団生活での感染症予防には予防接種が有効です。ワクチンが接種できる時期になったら、早めに受けるようにしましょう。ワクチンには「定期接種」と「任意接種」があり、定期接種は公費で受けることができます。接種方法などの詳細は、お住まいの自治体のホームページなどで事前に確認してください。
発症した場合は、症状を軽減する対症療法が基本になります。家庭では安静を保ち、水分補給をこまめに行うことが大切です。かゆみを伴う発疹が現れる場合は、かきむしらないように子どもの爪を切るのもひとつの対策です。また、感染症によって登園・登校基準が違います。医師、幼稚園や保育所、学校に確認してから登園・登校させるようにしましょう。

麻疹(はしか)
麻疹は、春から夏にかけて流行することが多く、感染力が強いのが特徴。子どもがかかると、肺炎、中耳炎、グループ症候群(気道が狭くなり呼吸困難になる疾患)、心筋炎、脳炎など重篤な合併症を引き起こす可能性があります。


ワクチン:定期接種/麻しん・風しん混合(MR)ワクチン
接種時期:1回目は生後12カ月~24カ月、2回目は小学校入学前の1年間(5歳以上7歳未満)

症状:発熱、咳、鼻水など、かぜのような症状。2~3日発熱が続いた後、高熱と発疹が現れる
登園・登校基準:解熱後3日を経過してから

風疹
「三日ばしか」とも呼ばれ、発熱や発疹は1~4日ほどで治まります。冬の終わりから初夏に流行する傾向にあります。子どもの場合、比較的軽い症状ですむことも多いですが、まれに脳炎、血小板減少性紫斑病などの合併症を起こす場合もあります。


ワクチン:定期接種/麻しん・風しん混合(MR)ワクチン
接種時期:1回目は生後12カ月~24カ月、2回目は小学校入学前の1年間(5歳以上7歳未満)
症状:発熱し、かゆみを伴うピンク色の発疹が全身に現れる。首、耳の後ろ、わきの下のリンパ腺の腫れ、のどの痛み、目の充血なども見られる
登園・登校基準:発疹が消えるまで

水ぼうそう(水痘)
感染力が強く、12月から7月に流行する傾向にあります。全身にかゆみのある水疱が現れるのが特徴で、アトピー性皮膚炎があると重症化しやすいので注意が必要です。また、かきむしると皮膚の細菌感染症、とびひになる場合もあります。


ワクチン:定期接種/水痘ワクチン
接種時期:1回目は生後12カ月~15カ月、2回目は1回目の接種から3カ月以上間隔をおいて接種(1回目接種後6カ月~12カ月経過した時期の接種が標準的)
症状:米粒大くらいの赤く盛り上がった発疹が全身に現れ、やがてかゆみを伴う水疱になり、3~4日後に黒っぽいかさぶたになる。発熱を伴う場合もある
登園・登校基準:すべての発疹がかさぶたになるまで

【感染性胃腸炎(ロタウイルス感染症)】
感染力の強いロタウイルスによって起こる急性の胃腸炎は、3月から5月に流行し、5歳までにほぼ全員が一度は感染するといわれます。症状の特徴は下痢や嘔吐で、脱水症状がひどくなると入院か必要になる場合もあります。


ワクチン:定期接種/ロタウイルスワクチン(1価、5価の2種類あり)
接種時期:1価ワクチン(2回接種)の場合、1回目は生後6週から14週6日までに接種、2回目は1回目から27日以上あけて生後24週までに接種。5価ワクチン(3回接種)の場合、1回目は生後6週から14週6日までに接種、2回目は1回目から27日以上あけて生後24週までに接種、3回目は2回目接種から27日以上あけて生後32週までに接種
症状:白く水っぽい下痢、嘔吐、38℃程度の発熱、腹痛
登園・登校基準:下痢や嘔吐などの症状が治まり、普段の食事がとれるようになったら

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
ムンプスウイルスによる感染症で、年間を通して流行が見られます。耳の下やあごの下が腫れるのが特徴です。ムンプスウイルスによる髄膜炎は、しばしばみられる合併症です。まれに脳炎、難聴などの後遺症につながる合併症を起こすことがあります。なお、おたふくかぜの予防接種は任意接種のため、接種に費用がかかります(自治体によって、助成がある場合があります)。


ワクチン:任意接種/おたふくかぜワクチン
接種時期:1回の接種では予防効果が十分でない場合もあり、日本小児学会は、1回目は1歳になってから早めに、2回目は小学校入学前の1年間(5歳以上7歳未満)に接種することを推奨している
症状:耳下腺(耳の下)の腫れと痛み。顎下腺(あごの下)の腫れと痛み。発熱することもしばしばある

登園・登校基準:耳下腺、顎下腺、舌下腺などの腫れが始まって5日を経過し、かつ全身の症状が改善するまで


  ※2025年4月18日時点の内容です。


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監修

川崎医科大学小児科学特任教授

中野貴司