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若い女性に多い「低体重/低栄養症候群(FUS)」の健康リスク

最終編集日:2026/2/16

近年、日本の若い女性の「やせすぎ」が問題になっています。「低体重」「低栄養」は、さまざまな健康リスクを引き起こすことから、日本肥満学会は「女性の低体重/低栄養症候群(FUS)」という新しい概念を提言しました。ワーキンググループも立ち上がり、治療や予防法などの確立を目指しています。


●若い女性の5人に1人がやせすぎ

厚生労働省の令和5年「国民健康・栄養調査」によると、20〜39歳の女性では、BMIが18.5未満の「やせ」の人の割合は20.2%、つまり5人に1人はやせすぎでした。これは先進国の中でも特に高い割合です。とりわけ20代で顕著で、1980年代はやせの割合が10%を超える程度であったのが、90年代以降は20〜25%という状態が続いています。

その背景には「やせ=美」という価値観があり、それがSNSやメディアなどを通じて浸透し、若い女性の「やせ願望」につながっているとみられています。また、肥満に比べ、やせのリスクについては注目されず、長い間軽視されてきたこともあるようです。

やせ願望がエスカレートし、極端な食事制限に走る人も後を絶ちません。最近は、食欲を抑制する作用を持つ糖尿病の治療薬(GLP-1受容体作動薬)をインターネットで購入して服用し、副作用によって体調不良に陥る人が相次ぎ、問題になっています。


●低体重・低栄養が引き起こす健康リスク

若い女性の低体重・低栄養は多岐にわたる健康リスクを引き起こします。まず、骨への影響で、本来は骨密度がピークになる時期に骨の形成が阻害されて骨密度低下を招きます。これは将来の骨粗しょう症のリスクを高めるものです。筋肉も減り、高齢者のサルコペニア(筋肉量低下)のような状態になることもあります。月経不順や排卵障害が起こることも多く、不妊を招くことが懸念されています。低体重は糖尿病の発症リスクであることもわかっています。

さらに、貧血、倦怠感、睡眠障害、免疫力の低下、肌や髪の状態が低下するなどの体の不調や、抑うつや不安、集中力低下といった精神的な症状が現れることもあります。

低体重の女性が妊娠すると、低出生体重児が生まれる確率が高まり、その子が成人後に生活習慣病にかかりやすくなることもわかっていて、次世代への影響もあり得ます。


●FUSという新たな症候群の概念

2025年4月、日本肥満学会は、「女性の低体重/低栄養症候群(FUS: Female Underweight/Undernutrition Syndrome)」という新たな症候群の概念を提示しました。これは低体重・低栄養による健康障害を見逃さないための新しい考え方です。日本産科婦人科学会や日本骨粗鬆学会なども参加するワーキンググループも立ち上がり、診断基準や予防指針の整備、および解決方法について議論を進めています。なお、やせ願望やダイエットなどとは無関係でやせている人たちもいます。体質的なやせや、経済的理由によって十分な食事をとれないケースなどですが、これらもFUSの対象であり、やせを個人の責任にするのではなく、多面的に支援・解決すべき課題であるとしています。

若い女性の低体重や低栄養が改善されるには、ひとり一人が適正なボディイメージを持ち、やせすぎによる健康リスクを理解し、栄養についての知識を持つことなどが望まれます。そのためには教育やメディアなどからの適切なアプローチが必要です。「やせ=美」は子どもの頃から刷り込まれることもあるので、親が安易に「(タレント名)ちゃん、やせて可愛くなったね」「そんなに食べると太っちゃうよ」などと言わないことも大切です。


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監修

神戸大学大学院医学研究科 特命教授日本肥満学会「女性の低体重/低栄養症候群ワーキンググループ」委員長

小川 渉