子宮頸がんだけじゃない、HPV感染による病気
最終編集日:2026/4/13
子宮頸がんの原因として知られているHPV(ヒトパピローマウイルス)ですが、実はほかのがんや病気にも関係しています。しかも、女性に限らず、男性も感染することから、すべての人にとって注意が必要なウイルスといえます。
●HPVはおもに性行為で感染するウイルス
HPVは、おもに性行為(オーラルセックスを含む)によって感染するウイルスです。めずらしいものではなく、ごくありふれたウイルスで、200種類以上の型があるといわれています。そのため、多くの人が一生のうちに一度は感染するとされていますが、そのほとんどは免疫の働きによって自然に排除され、病気につながることはありません。しかし、一部の型のHPVは体内に長く残り、がんやほかの病気を引き起こします。
HPV感染によるがんとして最も知られているのが子宮頸がんです。日本では毎年約1万人が子宮頸がんと診断され、約3000人が亡くなっています。
一方、HPVは子宮頸がんだけでなく、次のようながんの原因になることが知られています。
・中咽頭がん(のどのがん)、肛門がん:男女ともにかかるがん。
・陰茎がん:男性特有のがん。
・腟がん、外陰がん:女性特有のがん。
これらのがんの罹患率は毎年ほぼ横ばいですが、中咽頭がんだけは男女ともにゆるやかに上昇傾向にあります。
がん以外では、尖圭コンジローマもHPVが関係しています。この病気は性器や肛門周辺にイボのようなものができる性感染症ですが、患者さんの9割からHPVが検出されています。
のど(喉頭)にできる良性腫瘍である「再発性呼吸器乳頭腫症」もHPVが関係する病気です。どの年齢の人にも発症しますが、特に多いのは1〜4歳の小児です。母親の性器周辺にHPV感染があると、胎児が産道を通過するときに感染することがあるとみられています。
●感染予防に効果的なHPVワクチン
HPV感染を防ぐ有効な方法として、HPVワクチンがあります。日本では現在、2価ワクチン、4価ワクチン、9価ワクチンが使われています。
・2価ワクチン:特に子宮頸がんの原因になりやすいHPV16型と18型の2つの型に対応。
・4価ワクチン:上記の2つの型に、尖圭コンジローマの原因となる6型と11型を加えた合計4つの型に対応。
・9価ワクチン:上記の4つの型に、子宮頸がんの原因になりやすい31、33、45、52、58型を加えた合計9つの型に対応。
HPVワクチンは、女性の場合は定期接種の対象ワクチンになっているため、対象年齢(小学6年生〜高校1年生相当)の女性であれば公費(無料)で接種を受けられます。
一方、男性の場合は、接種が承認されているのは4価ワクチンと9価ワクチンです。ただし、今のところ任意接種となっているため、自費での接種になります。費用の目安は、9価ワクチンを3回接種した場合で9万円前後です(医療機関により異なります)。
なお、HPV感染はおもに性行為で起こるものなので、感染予防のためにはコンドームを使用することも重要です。
※2026年3月31日現在の内容です。
監修
小山嵩夫クリニック 院長
小山嵩夫