コロナ下の検診控えで高まるがんのリスク

最終編集日:2022/6/20

ウィズコロナ以降、私どもの病院でも、検診の受診者数は10~20%程度減っています。日本対がん協会によるデータでも検診受診者はおよそ10%前後減っています。がん検診の中でもエアロゾルが懸念されていた内視鏡検診はとくに受診者が減りました。そのほか、減少傾向が顕著だったのは乳がん検診で、これは接触が多いことからと考えられます。


●先送りするリスク

がんについてはコロナ下以降、診断数自体が減ったものの、基本的にはある一定の集団で見つかるがんの数は一定です。診断数が少なかったということは、発生した数が少なかったわけではなく、発見を将来に先送りにしているだけと考えられます。


●進行がんの発生率が増える恐れ

がんの発見が遅れることは、将来の進行がんの発生率が増えるということです。とくに胃がんや大腸がんは、もともと分母の数が多いがんであり、早期がんで無症状な場合、検診を受けなければ発見することができません。進行がんが増えると、治癒率が下がることで、将来の死亡率が上がってきてしまうことを危惧しています。


●適切な検診・受診を

従来の頻度で推奨されている検診を先延ばしにしたり、中止したりしないで適切に受診することが非常に重要です。また、軽微な症状のために受診控えをした結果、進行した状態で見つかってしまうこともあるので、適切に医療機関を受診してほしいと思います。


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監修

横浜市立大学 医学部医学科 肝胆膵消化器病学

日暮琢磨