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脳動脈瘤(未破裂脳動脈瘤)
のうどうみゃくりゅう・みはれつのうどうみゃくりゅう

最終編集日:2026/1/30

概要

脳内の動脈の一部が病的にふくらみ、風船のような瘤(こぶ)状になったものを指します。

瘤があってもほとんどの場合は症状がなく、このような状態で見つかったものを未破裂脳動脈瘤と呼びます。脳ドックやほかの疾患の検査中に見つかることが多く、未破裂動脈瘤の多くは3mm以下です。日本人の2~6%にみられ、女性に約2倍多いとされています。

破裂せずに経過している人も多くいますが、年間の破裂率は全体で約1%とされています。破裂すると、くも膜下出血を起こし、激しい頭痛が生じ、嘔吐、意識障害、けいれんを起こす場合もあります。一部の人は病院に到達する前に亡くなる場合もある重大な病気です。約3分の1の人が死亡し、約3分の1は後遺症で悩まされ、約3分の1が社会復帰できるとされています。したがって、破裂する前に動脈瘤を見つけ、破裂しそうな動脈瘤は未然に破裂を防ぐことが重要になります。


●破裂しやすい未破裂動脈瘤

一般的に、3mm未満で形が不正でないものは破裂の危険は少ないと考えられています。しかし、5~7mm以上の大きさの場合は、年齢、部位、形、身体状況などを含め、総合的に判断して治療を前向きに検討する必要があります。

大きさが5mm未満でも、

① 神経症状がある、過去にくも膜下出血を起こしたことがある

② 特定の部位にある(前交通動脈、内頸動脈の後交通動脈分岐部、椎骨脳底動脈など)

③ 形がいびつ(不整形)、瘤の上にブレブ(さらに小さな瘤)がある

といった場合は破裂しやすく、治療の適応となるとされています。

動脈瘤の発生部位によっても破裂しやすさは変わり、瘤が大きいほど、不整な形ほど破裂しやすく、経過観察中に大きさや形が変わるものは危険と考えられます。

経過観察の場合は、通常半年か1年ごとにMRAなどで経過を確認していきます。同時に、高血圧の治療、喫煙や過度の飲酒を避けること、便秘時のいきみを避けること、入浴時の温度変化に注意し、感情面では興奮を抑えるなど、生活上の注意も必要です。

原因

なぜ動脈瘤が生じるかは、まだ十分に解明されていませんが、脳動脈瘤ができやすい場所は、いずれも構造的に脆弱性がある部位です。そこに加齢、高血圧、喫煙、過度の飲酒などの要因が加わると、瘤が大きくなり、破裂のリスクが高まります。また、家族に脳動脈瘤やくも膜下出血の病歴のある場合や、多発性嚢胞腎など脳動脈瘤を合併しやすい遺伝性疾患がある場合には、脳動脈瘤の発生リスクは高くなるとされています。

症状

一部の例外(内頸動脈の後交通動脈分岐部や前交通動脈の動脈瘤の一部など)を除き、症状はありません。脳ドックやほかの疾患での脳のMRA(磁気共鳴血管撮影法)検査で偶然見つかることがほとんどです。

まれに、上記部位の動脈瘤では複視(物が二重に見える)、まぶたが開けられない、視力障害、視野障害などの神経症状が現れることがあります。

検査・診断

MRA検査や3D-CTA(三次元CT脳血管造影)で脳動脈瘤の診断が行われ、脳動脈瘤の場所、大きさ、形、周辺の血管の様子を確認します。さらに詳しく調べるため、あるいは血管内治療の可能性を検討する場合には、脳血管造影(アンギオグラフィー)を行うことがあります。脳血管造影は、太ももの付け根からカテーテルという細い管を挿入する検査のため、入院が必要となる場合もあります。

治療

3mm未満で形がいびつでない脳動脈瘤は、破裂の心配がほとんどなく、多くは経過観察とされます。半年~1年に1回、MRA検査などで動脈瘤に変化がないかを確認し、並行して禁煙、節酒、高血圧の治療・指導を行います。

破裂の危険を伴う未破裂動脈瘤がある場合には、身体年齢、高血圧症などの併存症、喫煙歴、飲酒歴、家族歴、複数個の脳動脈瘤がある(多発性)か、多発性嚢胞腎の既往があるか、さらに診療体制などを考慮し、開頭クリッピング術または血管内治療が行われます。


●開頭クリッピング術

全身麻酔下で頭蓋骨を一部切開して小さな窓をつくり、そこから入って動脈瘤の根元を金属製のクリップ(主にチタン製)で挟み、動脈瘤内腔の血液を血栓化して閉塞し、破裂を防ぐ方法です。血管内治療に比べて確実性が高く、再発率も低いですが、部位や瘤と分枝の関係などで困難な場合があり、体への負担も大きくなります。


●血管内治療

おもに鼠径部(下肢の付け根の部分)から動脈内にカテーテルを通し脳動脈瘤まで到達させ、細いコイル(プラチナ製)を動脈瘤の内部に詰めて血液が流れ込まないようにする治療(コイル塞栓術)、または筒状のステントを血管の動脈瘤の入り口に留置して、動脈瘤内の血流を滞らせて血栓化する治療(ステント留置術)、あるいは両者を組み合わせた方法を行います。

体への負担が少ないため、治療件数は増加していますが、動脈瘤の大きさ、できた場所や周囲の血管との関係などによって、適応とならない場合もあります。

近年、ステントの改良は急速に進んでおり、フローダイバーターという目が細かいステントも導入されています (フローダイバーター留置術)。このステントは非常に網目が細かく、動脈瘤の発生した血管に留置するだけで、徐々に動脈瘤内の血液を血栓化し、根治を目指すことも可能とされています。


開頭クリッピング術と血管内手術には、それぞれ長所短所があり、術前にさまざまな要因を検討したうえで治療法が選択されます。

セルフケア

予防

近年は脳ドック受診者が増え、脳動脈瘤の発見率も上がっています。脳動脈瘤が見つかった場合は、まず破裂(くも膜下出血)を予防するために、禁煙・節酒に努め、高血圧症があればその治療を優先し、専門医を受診することが大切です。

実際には多くの人は経過観察のみで済み、過度に心配する必要はありませんが、生活上の注意と経過観察を怠らず、治療が必要と判断された場合は、適切なタイミングで受けるようにしましょう。

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監修

昭和医科大学医学部脳神経外科 名誉教授

藤本 司