青年性扁平疣贅せいねんせいへんぺいゆうぜい
最終編集日:2025/2/10
概要
青年性扁平疣贅は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが原因で起こる「いぼ」の一種です。「扁平疣贅」と呼ばれることもあります。
HPVは多くの種類があり、200種以上の遺伝子型が存在するといわれます。青年性扁平疣贅の原因となるのは3型、10型、28型、29型など10種類あります。
若年女性に好発し、顔や腕、手にできやすい特徴があります。
原因
皮膚に傷があるとそこからHPVが侵入して発症します。
症状
顔や腕に、平たく盛り上がったいぼが現れます。茶色、灰褐色、紅色、健康な皮膚と同じ色など、色はさまざまで、大きさは数mm~1cmのものが多くみられます。複数現れることもめずらしくありません。
通常は無症状ですが、かゆみを伴うことがあります。
掻いたり頻回に触ったりすると感染が広がって、病巣が大きくなることがあります。
検査・診断
視診でおおよその見当がつけられます。ダーモスコープという特殊な拡大鏡を用いた「ダーモスコピー検査」を行うこともあります。ほかの疾患との区別がむずかしい場合には、いぼの組織を採取して病理検査で確定診断とすることもあります。
治療
液体窒素で疣贅を凍らせて壊死させる「凍結療法」、皮膚のターンオーバーを促すサリチル酸の外用、皮膚の水分代謝やターンオーバーを正常化する漢方薬のヨクイニンの内服が行われます。
凍結療法は広く行われていますが、凍結療法だけでは治りにくいため、これらの治療法を組み合わせることが多いようです。
セルフケア
療養中
病巣部はできるだけ触らないようにします。治療の途中でかゆみが生じることがありますが、できるだけ掻かないようにしましょう。感染拡大を防ぐために、タオルなどを他人と共有しないなどを心がけます。
とくに顔や手、腕の皮膚に傷があるときには注意しましょう。手荒れや吹き出物など、小さな傷でもウイルスの侵入口になり得ます。
予防
扁平疣贅が疑われる皮疹に気づいたら、皮膚科を受診します。治療は長期に及ぶことを知っておきましょう。
また、免疫力・体力が落ちていると皮膚のバリア機能も低下して感染しやすくなります。規則正しい生活を送る、バランスのよい食事をとる、休養・睡眠をしっかりとるなども予防につながります。
監修
関東中央病院 皮膚科 部長
鑑 慎司