下咽頭がんかいんとうがん
最終編集日:2026/2/3
概要
鼻の奥から食道までの、飲食物と空気が通る部分を咽頭および喉頭といいます。咽頭は上から3つの部位に分かれ、舌骨の高さから声門下部までの咽頭のいちばん下で食道に連なる部位が「下咽頭」です。この部分にがんができた場合、下咽頭がんと診断されます。
下咽頭がんは、同じ咽頭にできる上咽頭がんや中咽頭がんにくらべて予後が悪いとされています。
また、周囲にはリンパ節が多く存在するため、リンパ節転移を起こしやすいことも特徴のひとつです。
原因
はっきりとした発生原因はわかっていませんが、喫煙と過度の飲酒が発症にかかわっているとされています。
症状
初期には自覚症状がほとんどありませんが、ものを飲み込むときに違和感や痛みがある、耳が痛む、のどの痛みが続いている、声がれがある、くびやのどの周辺にしこりがあるなどの症状が現れることもあります。
ただ、こうした症状に気がつかないケースもあり、頸部リンパ節への転移によって現れる首のしこりなどで発見されることもあります。

検査・診断
通常、触診や、咽頭内をファイバースコープや内視鏡で検査することで診断できます。がんが疑われる場合は、組織を採取する生検が行われます。
さらに治療に役立てるため、がんの大きさやリンパ節および他臓器への転移などを調べるCT検査、MRI検査、超音波検査、PET検査などが行われます。
治療
下咽頭がんでは、がんの治療とともに、ものを飲み込む機能や発声機能を残すことも重要視されます。
治療はがんのステージや広がり具合、飲み込み・声などの機能温存の希望、全身状態を踏まえて選択されます。早期の場合は、放射線による根治治療や、喉頭を温存する経口的下咽頭粘膜切除術などの手術が行われます。がんが進行している場合には、拡大手術が中心となることが多い一方、生活の質を保つ目的で、薬物療法(抗がん剤や分子標的薬)を併用した化学療法併用放射線療法を選択することもあります。下咽頭がんは放射線療法に対する感受性が比較的良好(効きやすい)とされていますが、薬物療法を併用することでその感受性が更に上がることが期待できます。
セルフケア
予防
禁煙と過度な飲酒を控えることが、下咽頭がんの予防につながります。
下咽頭がんはとくにアルコールと関連が深く、飲酒するとすぐに顔が赤くなる「フラッシャー」と呼ばれる体質の方では、過度な飲酒を続けると下咽頭がんのリスクが高くなります。これは日本人やアジア人にアルデヒド脱水素酵素の非活性型の人が多いことに関係しています。
監修
栃木医療センター 耳鼻咽喉科
小島敬史