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妊娠高血圧症候群
にんしんこうけつあつしょうこうぐん

最終編集日:2025/12/27

概要

妊娠高血圧症候群は、妊娠20週から産後12週までの間に血圧が標準以上に上がる状態を指します。妊婦の約20人に1人の割合で発症するといわれ、以前は「妊娠中毒症」と呼ばれていました。

妊娠高血圧症候群には、おもに妊娠20週以降に初めて高血圧を発症し、産後12週までに正常に戻る「妊娠高血圧」のほか、「妊娠高血圧腎症」、妊娠前あるいは妊娠20週前までに高血圧やたんぱく尿がある「加重型妊娠高血圧腎症」「高血圧合併妊娠」などがあります。

妊娠高血圧症候群は、胎盤の早期剥離や全身にけいれんを起こす「子癇(しかん)」などを引き起こしやすいため、注意が必要です。

原因

妊娠高血圧症候群の原因ははっきりとはわかっていませんが、現在は血管が傷む病気と考えられています。初産婦、高齢妊娠(35歳以上の初産)、双子などの多胎妊娠、糖尿病や高血圧症、腎臓病などの持病がある、肥満、家族に高血圧の人がいる、過去に妊娠高血圧症候群になったことがある、などがあてはまる場合は発症のリスクが高くなります。

現在、原因を探るためのさまざまな研究が進められています。近年では、血管がうまく発達しないために母体の胎盤から胎児へ酸素や栄養を送る機能が正常に働かず、胎盤に多くの血液を回そうとして血圧が上がるのではないかと考えられています。また、傷んだ血管から出る物質が全身の血管を収縮させるために血圧が上がり、さまざまな症状を引き起こすともいわれています。

症状

自覚症状はほとんどありません。妊娠20週以降から産後12週に、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上の血圧上昇が認められます。収縮期血圧160mmHg以上、拡張期血圧110mmHg以上の場合は重症と診断されます。手足のむくみや尿たんぱくなどの症状も現れます。

重症化すると臓器障害が起こり、それに伴う症状が現れます。なかでも重篤な症状として「子癇」があり、意識喪失やけいれん発作などを起こします。子癇には頭痛、目のかすみやチカチカ、上腹部痛などの前症状があることが知られています。また、常位胎盤早期剥離の半数は妊娠高血圧症候群の妊婦に合併します。

検査・診断

妊婦健診の血圧測定や尿検査(尿たんぱくの測定)で診断されることがほとんどです。

血圧測定では、約6時間以上の間隔をあけて複数回の測定をします。収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上は高血圧と診断されます。

また、胎児の状態を確認するための胎児心拍数モニタリングや、発育状況をみるための超音波検査などが行われます。

治療

妊娠週数や検査結果の重症度などに応じて、安静もしくは入院による治療となります。妊娠高血圧腎症や重症度が高い場合は入院し、母体と胎児の健康状態を管理しながら必要に応じて降圧薬などの投与が行われます。

母胎や胎児の生命にかかわる場合は、重篤度や緊急度を考慮し、分娩誘発剤による分娩や帝王切開が行われることもあります。

妊娠高血圧症候群は通常、出産後に改善しますが、重症例では出産後も高血圧などが継続することがあるため、産後も注意が必要です。

セルフケア

予防

妊娠高血圧症候群は誰にでも起こる可能性があります。それまでの経過が順調でも、妊娠末期に突然発症することもあるため、妊娠中の血圧の推移には常に注意を払うようにしましょう。

主治医の指導のもと、体重のコントロールを行う、塩分をとりすぎない、ストレスや疲れをためない、十分に睡眠をとるなどの生活改善も予防につながります。血圧の急激な上昇を防ぐため、妊娠中はできるかぎりリラックスして過ごす工夫をすることも大切です。

また、妊娠高血圧腎症の既往があり、再発リスクの高い妊婦には、再発予防目的で妊娠12週から低用量アスピリンが処方されることもあります。

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監修

小山嵩夫クリニック 院長

小山嵩夫